佐賀を彩る100人 No.2 有明ガタゴロウ(ご当地ゆるキャラ)
ブームが終わっても、活動をやめなかった。
コロナ禍でイベントが消えても、佐賀をPRし続けた。
“非公認”のまま14年。
佐賀を勝手に愛し続けるご当地ゆるキャラ「有明ガタゴロウ」の正体とは。
非公認ご当地ゆるキャラとは
「非公認ご当地ゆるキャラ」とは
自治体や観光協会などの公的機関から
公式な承認や許可を受けていない
個人や民間企業が独自に活動するマスコットのこと。
代表例としては、千葉県船橋市の「ふなっしー」や
東京都国立市の「にしこくん」などが有名だ。
佐賀県にも、非公認ご当地ゆるキャラがいる。
2012年に誕生した「有明ガタゴロウ」だ。

14年もの間活動し続けているガタゴロウ。
その素顔とはー
誕生から現在に至るまでの変化と
活動にかける熱い想いを聞いた。
「有明ガタゴロウがたぁ」
Q.自己紹介をお願いします。
ガタゴロウ
「大好きな佐賀県を勝手にPRしている有明ガタゴロウがたぁ」

Q.チャームポイントは?
「えっとね、大きなお口!と、その中のハート型のべろガタ。
かわいいよね。あと大きなおめめ!」
Q.手に持っているのは?
「お友達のね、ワラスボくんガタァ
ワラスボくんはいつも一緒にね、活動してるガタよ」

ガタゴロウの正体とは
Q.ガタゴロウは何者なんですか?
ガタゴロウ
「何者?ムツゴロウがたぁ!」

有明海のシンボル「ムツゴロウ」は
国内には、有明海と八代海の一部にのみ生息している。
ガタゴロウは、そのムツゴロウがモチーフだ。

Q.普段は何をしているんですか?
「干潟のパトロールしてるガタァ。
干潟のお魚たちが、鳥とか”むつかけおじさん”に
獲られないようにパトロールをしてて…
でもね、鳥さんいっぱいいるから結構怖いんだよ」
※むつかけおじさん:干潮時にムツゴロウに針をかけて捕る
伝統漁法「むつかけ」をする漁師=「むつかけ師」のこと
佐賀で活動する理由
Q.どうして佐賀で活動を?
ガタゴロウ
「やっぱりね、オイが生まれたまちだからね
とっても思い入れもあるし
あと佐賀はね、素朴だけど、とってもいいところがあって
景色も素晴らしいし食べ物が本当に美味しいし
あと、住んでる人たちも、キャラたちも
みんないい人でね、とっても温かいガタよ」

ガタゴロウの”特技”
ご当地ゆるキャラといえば、それぞれの特性が注目される。
ガタゴロウの特技は「絵」だと言う。
Q.特技は何ですか?
ガタゴロウ
「オイは絵を描くことが大好きで、お絵かき、いっぱいしてるガタよ。
みんなに見てもらったりとか、たまにね、個展とかもやってるし
いっぱいの人に、オイの絵を見てもらって
佐賀の素晴らしさとか、干潟の美しさとか
あとキャラクターの楽しさとか
そういうのを伝えているガタァ」

これまで約300の作品を制作。
佐賀市や多久市などで4回にわたって個展を開催した。
Q.どうして絵を?
「心が動かされること
それを表現したくて描いてる時が多いガタね。
あと誰かに伝えたいメッセージがある時とか
そういうのを絵で表現して伝えるようにしてるガタァ」

ガタゴロウの作品には自然災害の被災地へのエールや
地元のスポーツチームを応援するものなど
コミカルなイラストから醸し出される”地域への愛情”が魅力だ。

「絵で心を動かせたら」
ガタゴロウ
「例えば、佐賀県の名所を浮世絵風に描いたりとか
あと漫画も描くんだけど
漫画は佐賀の素敵なところを表現したりとか
お友達のキャラさんと一緒に遊んだ時の
楽しかったことを描いてみたりとか
いっぱい描いてるガタよ。

佐賀県の素敵なところを書いたら
”ここ行ってみたい!”とか
食べ物、ラーメンとかを書いたら
”食べたい!”とか
やっぱりなんか、心を動かせたら嬉しいガタね」

ガタゴロウの歴史
2012年 イラストとして誕生
ガタゴロウが誕生したのは2012年1月。
Twitter(現在のX)でつぶやいた一言から始まった。

ガタゴロウ
「昔のTwitterで”こんにちガタァ”ってつぶやいたの。
それが一番最初かな。
佐賀の素敵なところとか、オイのいいところとか
あと、干潟の素晴らしさとか
いろんなことをつぶやいてたガタよ」
現在のガタゴロウのXのフォロワー数は
約21,500人(2026年8月時点)
継続発信の甲斐あってか
日本全国にファンがいる。

「ご当地ゆるキャラのお父さんになりたかった」
どのようにして、有明ガタゴロウが生まれたのか。
それは自身もご当地ゆるキャラのファンという背景があった。
ガタゴロウ
「キャラクターデザインしたりとか漫画描いたりとかもしてたから
ご当地ゆるキャラのデザイナーというか…
ご当地ゆるキャラのお父さんになりたくて
昔はけっこう公募があったからいっぱい出してたんだけど
でも全然採用されないからさ
あれ〜悲ちいなぁと思って
もう自分でやっちゃおう!と思って
自らデザインして始めたのもきっかけの一つガタァ」

2013年 パペットの姿で登場
ガタゴロウ
「そしたら、ファンの人が少しずつ増えてって、
ガタちゃんに会いたいって言ってくれたから
その頃はtwitterだけだったから会えない…
だから実体化しなきゃ!と思って」

ファンからの「会いたい」という声に応えて
2013年4月にパペットの姿で登場。
半年後の2013年10月には
イベントへの出演を見越して現在の姿となった。

ガタゴロウ誕生のワケ
ガタゴロウ
「それまでは、ムツゴロウとして
普通のムツゴロウとして過ごしてたんだけど
いろいろ聞いてると
佐賀県のこと、みんな知らないなと思って。
魅力度ランキングとかも結構下位だったし…
あれれ。
佐賀、とっても素敵なところなのにどうして?と思って。
だからちょっとね、そこをいろんなたくさんの人に
佐賀の素敵なところを教えたいなと思って始めたガタよ」

”非公認”の理由
ガタゴロウ
「個人のキャラクターだったから
公認のなり方がわかんなかったガタよ。
でも、個人のキャラクターも
ふなっしーさんがメジャーになってからすごい増えてきて
こういうアプローチの仕方もあるんだなって
いろいろと縛られずに
自由に表現できるのがとっても楽しいガタァ」
”ご当地ゆるキャラブーム”到来
twitterなどのSNSの普及も追い風となり
2013年には「ご当地ゆるキャラブーム」の全盛期が到来。
「ゆるキャラグランプリ」が開催されるなど
全国的に熱が高まった。

激しく動く「ふなっしー」のブレイクは
それまでの「しゃべらない」「ゆるい」
といったイメージを覆す衝撃を与え
ご当地ゆるキャラの多様化が進んだ。
ガタゴロウ
「埼玉県羽生市にある”世界キャラクターさみっとin羽生”
っていうのがあって
その時は多分400体とか集まって大きなイベントがあったガタよ。
それに初めて参加した時は本当に感動して、
キャラになれたんだ!っていう喜びと
たくさんの人が来てくれるから
その方たちに佐賀のことをアピールできるのが
とっても嬉しかったガタァ」
全国のイベントを行脚
多い時には年間52件のイベントに参加。
全国を飛び回り、忙しくも充実した日々だったという。

ガタゴロウ
「全国のキャラクターイベントでキャラクターの仲間もできて
いろんな土地を背負ったお友達と仲良くなると
その土地のことを、オイも身近に感じることができて
そして行ってみたいなと思うし
オイと仲良くなると、佐賀のことを身近に感じて
”行ってみたい”と思ってくれるから、
それがね、やっぱりご当地ゆるキャラの力かな。
実際に、全国からオイのファンの人が
佐賀のイベントに来てくれて
観光してくれる、楽しんでくれてるのを見て、
ああ、やってよかったなと思うガタァ」

コロナ禍でイベント激減
ブームも落ち着きを見せていた頃
追い討ちをかけるかのように始まったコロナ禍。
ガタゴロウ
「急にイベントがなくなっちゃって、
ファンの方にも会えなくなって
もう何をしたらいいのか全くわからなくて
最初は困ったガタァ。
だって、ご当地ゆるキャラは人に会ってなんぼかなと思って
触れ合って、直接集まってお話したりとか
PRしたりとかすることがオイたちの使命だったから」

対面イベントは年間5件まで激減。
そんな中でも、オンラインや無観客のイベントを主催するなど
ファンとの交流の場をつくっていた。
「忘れられないように
直接会えないけど
一緒にいるよっていうのをずっと伝えてたガタァ」
尾を引くコロナ禍の影響
イベントがなくなったこと以上につらかったのは、
人とのつながりが静かに途切れていったことだった。
対面イベントの自粛のムードは緩和されつつあったものの
共にイベントを作り上げていた
行政の担当者の顔ぶれが変わり
築いてきた関係はあっけなく途切れてしまった。
ガタゴロウ
「コロナ禍の2、3年で担当者が変わったり
組織自体がちょっと変わったりとかして
あと、会わないうちに途切れちゃったキャラクターも結構いて
それは寂しかったガタね…」

ガタゴロウの”現在地”
14年で起きた変化
ガタゴロウ
「結構皮膚とかがずっと続けてて
ボロボロになってきて、結構穴が開いたりとか
汚れが取れなかったりとか
会う人にね、”ガタちゃん汚いね”
って言われるようになってきたガタなぁ…」
紆余曲折ありながらも「佐賀のために」と
14年間全力で駆け抜けてきたガタゴロウ。
その苦労が、体に刻まれている。

「やっぱりね、十何年も活動してると
いろいろ傷が増えるガタよ。
エステにね、行きたいんだけどね、
結構エステ代が高くて大変ガタァ」
エステとは、着ぐるみのリニューアルのこと。
著者の調べでは、全身を新調するのに150〜200万円かかる。
14年間変わらない想い
Q.これから先、あとどれくらい活動したい?
ガタゴロウ
「ずっと長く続けていけたら嬉しいなと思うガタ。
まだいる!って言われるぐらい
やっぱりね、この十何年間活動してると
いなくなったお友達とかも結構いて、そうすると本当に寂しいし
ファンの人に寂しい思いはさせたくないし
まだ佐賀の魅力度ランキング
まだまだ最下位に近いところにいるから
全然目標やり遂げてないから
とりあえず、ずっとずっとやりたいガタね」
ガタゴロウの夢
Q.目標・夢は?
ガタゴロウ
「やっぱり佐賀が魅力度ランキング1位になれるぐらい
たくさんの人に佐賀のことを知ってもらって
好きになってもらって佐賀に来てもらいたい。
それがオイの大きな目標ガタァ!」

ブームが終わった今
各地のご当地ゆるキャラを取り巻く環境は決して楽ではない。
それでもガタゴロウの歩みは止まらなかった。
かわいらしい声で
「活動をずっと続けたい」と語るガタゴロウの強さは
もはや ”ゆる”キャラ と呼ぶのがおこがましいほど。
地域を背負って歩み続けた14年。
その歳月は、これから先もきっと
ガタゴロウの力になり続けるだろう。
